2~3才の歯のお悩み
- 甘いおやつは、ムシ歯の原因になるので与えない方がよいのでしょうか?
甘いおやつは、確かにムシ歯の原因になりやすいですが、子どもの楽しみであり、糖分は熱分にもなって子どもの成長にも必要ですから、むしろ上手に与えた方がよいと考えます。肝心なのは、食べさせ方です。まず、おやつの時間を決めましょう。欲しがるたびに与えてはいけません。食事も十分に摂れなくなってしまいます。
また、ダラダラ食べさせないこと。糖分が長く口の中にあることによって、ムシ歯リスクも高まります。おやつの種類も、アメやグミなどは小さめのものを選びましょう。食べる回数やムシ歯が気になる場合はシュガーレスのものを選ぶのもよいでしょう。おやつは誰にとっても楽しみの一つ。上手におやつをあげて、心も体も健康に過ごせるとよいですね。
- 上手に仕上げ磨きするための姿勢ってありますか?ベストな姿勢を教えてください。
お子さまの成長とともに仕上げ磨きの姿勢は変える必要がありますが、2~3才の場合は寝かせ磨きがおすすめです。ひざを少し広げて正座したら、ひざの上にお子さまを仰向けに寝かせます。さらにリビングの照明の下など明るいところを選ぶと、お口のなかの汚れがチェックできて磨き残しが防げますよ。
- 何才から歯をみがかせたらよいですか?
歯が生えてきたら、歯磨きのスタート時期です。
お子さま自身で上手にみがけるようになるには練習が必要ですので、8~9才頃までは保護者が「仕上げ磨き」をしてあげましょう。
3才頃までは「保護者磨き」を中心に、3才を過ぎた頃からお子さまの「練習磨き」の後、保護者による「仕上げ磨き」をしてあげてください。
子どもの歯磨き方法について、詳しくはこちらをご覧ください。
ハミガキ剤の使用は、お子さまがひとりで口すすぎが出来るようになってから始めましょう。
- ムシ歯になってしまいましたが、歯科医院さんに連れて行っても治療をイヤがるので、いつも治療せず帰るだけ。どうすればよいのでしょうか?
歯科医院へ行く前に、きちんと説明してあげることが恐怖心を与えないためのポイントです。「楽しいところよ」などとだまして連れて行くと不信感を抱いてしまいますし、2回目の治療ではさらにイヤがることでしょう。決して怖がらなくてもいいのだと話して、心の準備をさせてあげてください。
治療の際、付き添う方がハラハラしていては、お子さまも緊張するばかり。ニコニコと笑顔を絶やさず大らかに見守ってあげましょう。そして治療が受けられたら、今度はたっぷりとほめてあげてくださいね。治療にもいろいろな方法があります。進行しないための処置だけをしてもらい、もう少し成長して聞き分けが出来るようになってから、治療を行なう場合もあると思います。
- 甘い味のハミガキ剤は、ムシ歯にならないのでしょうか?
甘い味のハミガキ剤でムシ歯になることはありません。
実際になめ比べてみるとわかりますが、実は、子ども用ハミガキ剤は、大人用よりも甘味が少ないんです。これは、甘い「味」をつけているからではなく、使用している「フレーバー」の香りが、甘く感じさせるのです。子ども用ハミガキ剤は、お子さまたちが大好きな味に出来ていますから、上手に使って歯の健康に役立ててください。
- 子どもの歯って、磨きすぎるとすり減りそうで心配なのですが…。
通常の力で歯磨きすれば歯が傷ついたり、すり減ったりする心配はありません。ただ、仕上げ磨きのたびにお子さまが嫌がったり、歯ぐきから出血したりする場合は要注意。力が入りすぎて歯ぐきを傷つけているかもしれません。その上、強い力で小刻みに動かすとハブラシの毛先が開いてキチンと歯に毛先が当たらないために、歯垢(プラーク)は取れにくくなります。新しいハブラシでは毛先が広がらない程度、歯と歯の間に入り込む程度の力でみがいてあげましょう。お子さまを歯磨き嫌いにしないためにも、やさしい仕上げ磨きを心がけてくださいね。
- 食事のたびに仕上げ磨きは面倒。いつ磨くのが一番、効果的なのでしょうか?
子育て中は毎日大忙しですが、夕食後やおやすみ前の仕上げ磨きを日課にしてください。お口が汚れたまま眠ってしまうと、寝ている間に細菌が増殖し、起床時には夕食後のなんと約30倍にも増えてしまいます。眠っている間は、お口の殺菌・浄化をしてくれる唾液の量が減る上、細菌の繁殖に好都合な適温が長時間保たれているからです。睡眠中は、ムシ歯リスクがピークになる時間。どんなに忙しくても、おやすみ前の仕上げ磨きだけは忘れないでくださいね。
- 歯のつけ根が白濁しているような…。歯磨きしてもとれないけど、これって何でしょうか?
歯のつけ根の白濁は、初期ムシ歯の可能性が高いですね。初期ムシ歯とは、歯垢(プラーク)中のムシ歯原因菌が作りだす酸によって、歯の成分であるカルシウムやリンなどのミネラルが溶けだし、エナメル質内部がスカスカな状態になってしまうこと。ツルツルと光沢のある健康な歯に比べて、すりガラスのように濁って見えます。
でもこの段階なら、唾液に含まれるミネラルが歯に戻る「再石灰化」を促進させることで、元の健康な歯に戻すことも可能です。再石灰化に効果的なフッ素入りハミガキ剤で丁寧に歯磨きしましょう。さらに歯科医院でフッ素塗布などの予防処置をしてもらうのもいいですね。
- 歯のなかで特にムシ歯になりやすいところはどこですか?
乳歯の生え始めは前歯がムシ歯になりやすいのですが、その後、成長するにしたがって危険なポイントが変わってきます。乳歯が生えそろってくるこの時期は、奥歯でしっかりと噛めるようになるころ。奥歯はミゾが深く複雑なので、かみ合わせに食べ物のカスがたまってムシ歯になってしまいます。
さらに歯と歯の間にも注意しましょう。少しずつあごの骨が成長してくるため、歯と歯のすき間が広がり食べ物がはさまりやすくなっていきます。乳歯は、歯の表面をおおうエナメル質もその下にある象牙質も、永久歯に比べて薄くて柔らか。ムシ歯になると進行が早いので気をつけてください。